〈家づくり思想〉1
居心地のいい空間づくり
自然エネルギーを利用する
二十年ほど前に家づくりを手がけさせていただいた住まい手さんからお話いただいたことがありました。たしかに、当時に比べれば、ここ十数年の間に家づくりはずいぶんと進化したと言えるでしょう。気密性や断熱性の考え方、換気システムなど、以前より簡単に暖かさや涼しさを得ることが出来る現代の知恵は素晴らしいものです。
昔からつづく、温度変化に対処する知恵
実は、自然の力で厳しい温度変化に対処する工夫は昔から存在していました。
例えば庇(ひさし)や簾(すだれ)、雨戸などもそのひとつです。
屋根の庇の深さによって、夏の強い陽射しは遮り、冬は暖かい陽射しを取り込む。
また、住まいの南側に庭を設け、庭の緑から夏は清々しい空気を得る、などといったことです。
私たちはこの、自然を活用する工夫や設計が大好きです。
太陽や風は、多分ずっと先まで変わらない自然エネルギーだと思います。
環境配慮の考え方が家づくりにもだいぶ浸透してきましたが、それを実践する工夫がここにあるからです。
また、変化の少ない石油系の材料や接着剤で固められた合板は住宅性能を上げるために使いやすい材料でした。
十数年ほど前に生まれた、家全体を密封し、強制換気と冷暖房器具で室内空間の温度と湿度を安定させる、という考え方を支える安易な材料とも言えるでしょう。
私たちは自然素材で、その環境を得ることにこだわります。
天然木をはじめとする自然素材の特性を知り、適材適所に使用していくことで、住まいに適切な気密性能、断熱性能を発揮させることが十分可能だからです。
住まいの性能を高め、
自然エネルギーの力を利用すること。
そして石油系燃料を極力使わない暮らしになること。ずっと先の安全な暮らしまで見据え、地球環境に配慮した設計と材料選びを、私たちは提案していきます。